中等度難聴の聞こえ方を解説!聞こえにくさは音の小ささだけではない

友達が中等度難聴って言ってたんだけど、聞こえ方はどんな感じ?どんなことに困っているのかな

難聴には軽度、中等度、高度、重度の4つの段階があり、日本では高度難聴から障害者手帳をもらうことができます。

手帳をもらわない軽度・中等度難聴の人は「一応聞こえているみたいだし、大丈夫なんでしょう?」と思いませんか?

名称も「軽度」とか、「中等度」という表現なのであまり深刻な状況ではないのかなという印象を与えてしまいがちです。

確かに、いわゆる聞こえなくて手話や筆談で会話をする人と比べたら症状は軽いでしょう。

しかし、「困っていないか?」と聞かれると声を大にして答えたいです!

めちゃめちゃ困っています!

今回は軽度・中等度難聴の人の聞こ方を中等度難聴である私の体験談を踏まえながら解説していきます。

難聴は単に音が小さく聞こえるだけではなく、音がクリアに聞こえないという問題も抱えているため、音量を大きくすればいいだけの問題ではないのです。

ご自身、あるいは身近な人が聞こえについて悩んでいるようであれば、理解を深める一助になると嬉しいです。

中等度難聴とは

日本では難聴の聴力レベルを大きく4つの段階に分けています。

  • 軽度難聴
  • 中等度難聴
  • 高度難聴
  • 重度難聴

聞こえのレベルを話す時に必ず必要となる知識が音の大きさを表す「db」という単位になりますので、まずは音の大きさについて解説していきますね。

音の大きさを表す「db」とは?

4つの難聴レベルはどのくらいの大きさの音が聞こえるのかで分けており、音の大きさは「db(デシベル)」という単位で表します。

数値が大きくなるほど、大きな音であることを表し、普通の聴力をお持ちの方は25dbよりも小さな音も聞くことができます。

例えば雪の降る音は20dbくらい、木の葉のそよぎは30dbくらい、しとしと雨の音は40dbくらいというイメージです。

それ以上の大きさは以下の図が分かりやすいです。

画像引用 城北補聴器

人の話し声は20dbくらいから大きくても60dbくらいで、30~50dbくらいが平均と言えそうですね。

音の大きさのイメージがつかめたところで、各難聴レベルの聞こえの程度を表に表すと、以下の通りになります。

難聴の程度 平均聴力レベル
(db)
聞こえの程度
軽度難聴
26-40
  • 小さな声や遠くの声が聞き取りにくい
  • 騒がしい場所や10名程度の集まりの会話は聞き取りにくいことがある
  • 静かな場所でなら普通の声の大きさをほとんど理解できる
  • 中等度難聴 41-70
  • 正面からの大きめの声はほとんど理解できる
  • 複数人の会話は聞き取りにくいことがある
  • 声の質で聞き取りやすさが大きく左右される
  • 補聴器が必要
  • 高度難聴 71-90
  • 耳元で言えば何とか聞き取れる
  • 補聴器は確実に必要
  • 重度難聴 91以上
  • 耳元で大声で話せば聞こえることもある
  • 補聴器を使用しても聴覚だけの会話は困難
  • 普段の会話にはあまり不自由しない
  • ちなみに、日本では聴覚障碍者の手帳をもらえるのは以下の条件を満たす必要があります。

    聴覚障碍者認定となる聴力レベル

    • 両耳の聴力レベル70dB以上
    • 片耳の聴力レベルが90dB以上かつもう片耳の聴力レベルが50dB以上

    70dbといえば、セミの声くらいです

    セミの声は結構大きな音だと思いませんか?

    蝉レベルの音が聞こえなくなるまで悪くならないと、日本では障害者という扱いにはならないのです。

    45db程度の中等度難聴の私の聞こえのレベル

    ちなみに私の聴力は45dbくらいなので、中等度難聴ということになり、障害者手帳はもらえません。

    私は小雨の音は聞こえず、体温計の音は大きめの音と謳っているもので45dbくらいなので、注意していないと聞こえないことがあります。

    補聴器を常用していると疲れるので、家では外していることもあります。

    その場合、家族に話しかけられても話しかけられていることは分かっても距離があると大体聞き取れません。

    1m以内の距離で大きめの声で話してもらえれば、体感的には50-70%くらいは聞き取れていると思います。

    しかし、音量や声質によっては30cmくらいまで近寄らないと分からないことも多々あります。

    補聴器を装用すると、静かな環境で1対1であれば90%くらい、4-5人くらいまでの会話であれば70%くらい聞き取れるかな、という感覚です。

    補聴器を装用すると、格段に聞こえる確率は高くなるので、外出するときは補聴器がないと怖くて出かけられません。

    補聴器を装用しても健聴者と同じレベルまで聞こえるかと言うと、全くそうではなく、困ることは多いです。

    メガネをかけると見えるようになるのと同じように、補聴器をすれば聞こえるようになると思っていました。

    私が補聴器を付けても普通の人と同じように聞こえない理由は大きく2つあると思います。

    • 補聴器の聴力を30dbあたりに合わせているので、装用しても軽度難聴程度だから
    • 感音性難聴だから

    もっと音量を大きくして20dbくらいまで聞こえるようにすればいいんじゃない?

    と、疑問に思われた方もいるかと思います。

    そうしない理由は、私の難聴の原因が感音性難聴で、ただ音量を大きくすれば解決するという問題ではないからです。

    では次に感音性難聴について解説してきますね!

    難聴の種類

    難聴は耳の中でもどこの部分に原因があって聞こえが悪くなっているのか、原因疾患から大きく3つの種類に分けることができます。

    • 伝音性難聴
    • 感音性難聴
    • 混合性難聴

    伝音性難聴は外耳・中耳に異常があり、感音性難聴は内耳か内耳より奥の聴覚神経や脳に異常がある難聴です。

    引用 鼓膜ナビ

    伝音性難聴

    伝音性難聴は外耳または中耳に異常が異常があって聞こえが悪くなる難聴です。

    原因疾患として考えられるものは耳垢栓塞、外耳道異物、中耳炎、鼓膜が破れるなど。

    薬や病院での処置によって原因が改善されれば聞こえも改善されることが多いです。
    また、補聴器を装用した時の効果も高いです。

    耳垢を取ったらよく聞こえるようになった!ということもありますので、原因疾患を治療できないか、病院に行ってみましょう!

    感音性難聴

    感音性難聴は鼓膜より内側、内耳や聴覚神経、脳に異常があって聞こえが悪くなる難聴です。

    感音性難聴の原因として考えられる疾患は以下の通りです。

    • 老人性難聴
    • 突発性難聴
    • メニエール病
    • 騒音性難聴
    • 内耳炎

    難聴で悩んでいる人の大半は感音性難聴なのではないでしょうか。ちなみに私も感音性難聴です

    突発性難聴は症状が出て、すぐに病院で適切な処置を受ければ治ることがありますので、早めの受診が必須です。

    混合性難聴

    混合性難聴は伝音性難聴と感音性難聴の両方の特徴を合わせ持つ難聴です。

    感音性難聴の人の聞こえ方をイメージとサンプルで解説

    それでは難聴の人の聞こえ方を具体的に解説していきます。

    伝音性難聴の人の聞こえ方はイメージとして以下の通りです。

    伝音性難聴の人は音が小さくなって聞こえにくくなりますが、音を補ってあげれば比較的問題なく聞こえるようになります。

    一方、感音性難聴の人の聞こえ方はイメージとして以下のような感じになります。

    感音性難聴の人は音が小さくて聞こえにくいだけでなく、音が歪んで聞こえる、2重に聞こえる、響いて聞こえる、虫食い状態で聞こえる、ようになります。

    人は会話の中でも最初と最後は大きめの声になることが多いのですが、真ん中あたりは少し声のトーンが落ちることが多いです。

    上の文章だと、私には「きょ・・い・・・・ですね」辺りは聞こえるのですが、肝心の中身が聞こえません。

    そしてこの文章を補聴器で音を補うとどうなるのかと言うと、以下のイメージです。

    音は大きくなるのですが、歪んだまま大きくなるので分からないところは結局分からないままのことが多いです。

    しかも感音性難聴の人は音が聞こえにくいのに大きな音が苦手という特徴を持った人が多いです。

    補聴器で音を補っても音が大きいだけで結局聞こえないので「うるさい」と感じてしまいやすいんですよね・・・。

    電車などの機械音や犬の吠える声、子供の泣き叫ぶ声、音楽がガンガンに鳴っている場所などは普通の人よりも大きくうるさく感じてしまいます。

    小さな音は聞こえないけど、大きな音も苦手。音の許容範囲が狭くてなんだかわがままを言っているみたいですみません。

    大きな音にしても結局聞こえず、疲れるだけなので、補聴器の音量は大きければ大きいほど良いというわけではないところが難しいところです。

    さらに、感音性難聴の人は必要な音だけを聞き分けて聞くということが苦手です。

    居酒屋など騒がしい場所で複数の人が同時に話している環境では音が全部くっついて聞こえるんです。

    例えば喫茶店に入った時に「お昼何食べたい?」「昨日スタバに行ったんだけどさ~」「途中から雨が降って来て大変だったの」といったいろんな人の会話があちこちで飛び交っているとします。

    健聴者の人は「カクテルパーティ効果」といって、興味のある必要な音だけど拾って聞き取ることができます。

    しかし、感音性難聴の人は音と音が重なった時に聞き分けられないので、1つの意味不明の音の塊のように聞こえます。

    私の場合、騒がしい居酒屋の環境では目の前に座っている人の会話ですら聞き取れる確率は40-50%程度です。席が2-3個離れるとほぼアウトです。

    会話として聞き取れる割合が低いわりに音が大きくてうるさいと感じてしまうので、ドッと疲れてしまうんですよね。

    コロナ禍に入ってから居酒屋に行くことは激減したのですが、行く機会がある時は率先して幹事をするようにしています。

    少しでも静かで聞こえやすそうなお店を選ぶようにしています

    最後に、感音性難聴の人の聞こえ方を体験できる面白い動画を見つけたので紹介します。

    引用 オーティコン補聴器

    まとめ

    今回は中等度難聴はどのくらいの聞こえ方なのかについて解説してきました。

    軽度、中等度という言葉を聞くと障害者手帳をもらわないレベルですし、症状としては「軽い」のかなと思いがちですよね。

    しかし、感音性難聴は音が歪んで聞こえたり、響いて聞こえたりして、クリアに聞こえないので、単に音量だけの問題ではないのです。

    軽度・中等度難聴は障害として認識されにくい聴覚グレーゾーンにあたりますが、グレーゾーンならではの難しさもあるのではないかなと感じています。

    この記事をきっかけにもっと軽度・中等度難聴について理解を深めていくきっかけになると嬉しいです。

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