軽度~中等度難聴の私のお仕事変遷①【接客業はおすすめしません】
こんにちは、サチフクです。
今回は軽度から徐々に進行して中等度難聴になった私のお仕事変遷についてお話していきます。
私は学生時代のアルバイトから通算して20年近く接客業に携わって来ました。
人と話すことが大好きで、お客様の喜ぶ顔や「ありがとう」という言葉にやりがいを感じてきました。
接客業は特別なスキルが無くても誰でも始められるお仕事で、短時間勤務など、時間に融通が利くところも魅力的です。
軽度中等度難聴の人は初見で難聴であることに気づかれないので、接客業はできると思います。
軽度中等度難聴の人は接客業はやってやれなくはないと思いますが、おすすめしません。
今回は20年接客業をしてきた私の体験談をお話していきたいと思います。
軽度中等度難聴の人が今後お仕事を検討する際に少しでも参考になったら幸いです。
難聴だけど人と接することが好きでずっと接客業をしてきた
私は決して話がうまいとか、コミュニケーション上手というわけではないのですが、人と話すことが大好きです。
気が付いてみれば、学生時代から携わってきた仕事は全て接客業でした。
今にして思うと、子供のころから難聴だったので、本当はあまり向いていないであろう職業に果敢に挑んできてしまったなぁと思います。
それでは時系列に沿って私のお仕事変遷をご紹介していきます。
学生時代のアルバイト状況
高校時代、大学時代と私はとにかくよく働いていました。
初めてのアルバイトは王道ではありますが、マクドナルドでした。
マックなどのファーストフードや居酒屋、高級レストラン、レンタル屋さん、ディズニーランドの物販などなど。
この頃は耳が悪いと言っても20db~30db程度だったと思うので、特に問題に感じたことはありませんでした。
それでも居酒屋というかなり騒がしいお店の中で、聞いたこともないお酒の名前を聞き取ることは四苦八苦しました。
新社会人になってからはインストラクターに
新社会人ではコンピューターのインストラクターをすることになりました。
インストラクターとはいっても、いわゆるWindows上で動くメジャーなアプリの操作では無く、マニアックなソフトの講師です。
お客様は個人ではなく、企業から仕事のため受講するSEの方ばかり。
対応するお客様の人数も15人程度が多かったですが、新入社員研修などで40人程度の大規模なものもありました。
ただ、距離がある席から質問をされると、大体聞き取れなくて困りました。
その場合、もう一度言っていただけるようにお願いするのですが、お客様相手に聞き返すのは1回、頑張って2回までが気持ち的には限度です。
2回聞き返しても聞き取れない場合は内心「どうしよう、どうしよう。」とパニック状態。
お客様の席に近寄ってもう一度言っていただけるようお願いするのですが、わざわざそばに来られることにビックリされ、引かれてしまうこともしばしば
人によっては「あ、もう、いいです。」と言われてしまうことも。
「何か質問はありますか。」と言わなければいけないところでいつも内心「お願い、誰も質問しないでー!」と思っていました(笑)。
この頃から距離がある状況で普通の声の大きさで話されると、聞き取れませんでした。
ただ、頻度はそれほど多くはなかったので、あまり気に病むことはありませんでした。
結局インストラクターの仕事は6年ちょっと続いたのですが、本格的に開発の仕事をしてみたくなり、転職を決意しました。
とはいえ、転職先が決まる前に妊娠が分かったので、その後長いブランクが入ることになります。
子供が産まれてからはパートで販売員
SEの仕事は残業は当たり前の世界だったため、出産後は時間の融通が利く近所でパートをすることにしました。
私は妊娠中に何度も耳のつまりや耳鳴り、めまい、吐き気などを経験していて、もしかしたらこの頃に聴力を落としていたのかもしれません。
もともと難聴の人はさらに聴力を落としても気づきにくいんですよね
パート先は衣料品の販売店だったのですが、上司である男性の低めのボソボソした声が聞き取れず、指示が分からず困りました。
お客様の声も聞き取れないことが増えてきて、上司の勧めもあって補聴器をすることになりました。
合わせて読みたい関連記事
この頃の聴力は両耳とも41dbくらいでした。
接客業を離れることになった私の転機!コロナ禍が原因
人間関係に恵まれ、能力も買ってもらえ、仕事にやりがいを感じ、気が付いたら11年も同じお店で勤務していた私に転機が来ました。
原因はコロナによる世の中の変化です。
コロナ禍に入って全員マスクをするようになり、お店では5mmほどの分厚いパネル版がレジに設置されるようになりました。
しかもお店では普通の人でも「うるさい」と感じられる音量の店内放送が鳴っています。
マスクをした状態でお話をされると、声がくぐもって聞こえ、モゴモゴして聞こえてしまいます。
感音性難聴の人はそれでなくても声が響いたり割れたりしてはっきり聞こえないので、聞き返す頻度が格段に増えてしまいました。
合わせて読みたい関連記事
お店によってはビニールの仕切り版など簡易的な仕切りを使用しているところもありましたが、私のお店では分厚いアクリル版でした。
トドメは店内放送だったんですね~。
お店の活気づけのために終始賑やかな音楽が流れているのですが、スピーカーがレジ付近でした。
お客様によっては聞き返すと、聞こえやすいように言い直してくれる人もいたのですが、誰もがその気遣いをしてくれるわけではありません。
衣料品のレジでは食料品のレジのような流れ作業で終わらないことが多く、お客様からの質問で予想しない言葉が出てくることも多いです。
お客様に何回も言い直してもらったり、聞き間違えてしまったりすることでイライラさせてしまうことが増えました
困ったのは、2020年7月から始まったレジ袋有料化です。
「レジ袋は有料ですが、お付けしてよろしいですか?」と聞くと、「いいです。」と短く答えるお客様が多かったです。
服を畳みながらお客様の返答を待つのですが、下手をすると店内放送にかき消されて答えてくれてかどうかすら分からないことがありました。
マスクで口の動きが見えないのもネックでした。
加えて、「付けて良い」の「いい」なのか、「付けなくていい」の「いい」なのか、判別が難しく、意図しない行動を取って怒られてしまうことが増えました。
日本語ムズカシイデスネ
上記の件は質問の仕方も悪かったため、「レジ袋は○円かかりますが、このままのお渡しでよろしいですか。」に変えるなど、工夫をしました。
有料でも付けて欲しいお客様はアクションを取ってくれるので分かりやすくなります。
レジ袋の話はあくまでも一例で、ちょっとした会話のやり取りがいちいち聞こえなくて消耗してしまうんですよね。
しかもレジは1つではなく、複数のレジが並び、あちこちのレジから話し声がある中、自分の目の前のお客様の声だけを拾うということがとても困難でした。
ストレスのためか、突発性難聴にかかっていたのか、ガクンと聴力が落ち、一時左耳52db・右耳47dbになってしまいました。
聴力テストするたびに聴力が下がっていくことが恐怖となり、仕事をやめることを決意しました。
まとめ
接客業はコミュニケーション力を身に付けることができ、お客様の喜ぶ姿を直に見ることができるので、とてもやりがいのあるお仕事です。
静かで穏やかな職場環境であれば難聴の方でも問題なくお仕事することができるでしょう。
しかし、賑やかでスピードや効率の良さが要求される職場環境で、聞き取ることが重要視される接客業はあまりにも不利です。
私のようにもともと接客業をしていて、途中から聴力を落として行ってしまった人はついつい、その場で踏ん張ろうとしてしまうかもしれません。
聞き取れないことがストレスとなり、ストレスからさらに難聴が進んでしまってはもったいないです。
もし今、聞き取ることが重要な仕事をしていて、辞めるに辞められなくて踏ん張っている人が居たら勇気を持ってストレスから逃げて欲しいと思います。